奥日光前衛 大日向山(1176.5m) 2015年2月28日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 8:22 車道−−8:34 尾根取付−−10:24 大日向山 10:57−−11:51 車道

場所栃木県日光市(旧栗山村)
年月日2015年2月28日 日帰り
天候
山行種類籔山
交通手段マイカー
駐車場車道脇に駐車
登山道の有無無し
籔の有無一部に笹あり
危険個所の有無尾根下部の急斜面は滑落注意
山頂の展望落葉樹林に覆われ良くない
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コメント太田山集落入口の西沢右岸尾根を往復。前夜に新雪が積もり思ったよりも雪が多く、スノーシューを持って行って正解だった。尾根下部は急傾斜で6本爪軽アイゼンにピッケル無しではちょっと怖かったが、それより上部は危険個所無し。ただし一部で笹藪あり。山頂部は明るい落葉樹林。山頂標識は日光山紀行のみ




橋を渡った先の林道入口に駐車 林道は未除雪で車は入れない
尾根に取り付くため谷に下る 谷の中。水は無い
尾根に取り付くが急斜面 尾根に乗る。植林
植林を抜けると急な尾根に突入 フィックスロープ登場。軽アイゼンではちとつらい
傾斜が緩んでくる まだ雪も籔も少ない
明神ヶ岳 標高800m付近から笹が登場。雪が増える
踏み抜くと太ももまで潜る個所も。スノーシューにスイッチ 標高870m付近
標高900m付近 標高930m付近。雪が少ない
標高1030m付近。低い笹らしい 標高1120m付近。ブナが増えてくる
大日向山山頂。山頂標識はこれだけ フジオカ.T.Kさんのリボン。奥多摩でも見たことあり
昨年登ったようだ 大日向山から見た女峰山
大日向山から見た高原山 下山開始。スノーシューの跡がくっきり
踏み抜いた穴。スノーシューだとこれがないので大助かり 急斜面区間に突入。木に掴まりながら下った
植林帯に入ると作業道あり 作業道を下る
雪に埋もれた谷。往路より下流側を横断 利用した尾根末端
車に到着。道路は除雪されていた


 現日光市のエリアで未踏なのは旧今市の里山を除けば大日向山だけになっていた。田茂沢沿いの林道を利用すれば距離も短く、地域的、標高的に考えれば藪が深いとも思えず難しい山ではないだろう。なので通常は無雪期に登られると思う。しかし既に下界は花粉シーズン真っ盛りで下手なエリアはもう私は立ち入れない状況。この点、県北の山岳地帯ならまだ雪があって杉花粉はないだろうと考えて大日向山に出かけることにした。風邪気味で体調は良くないが、大日向山程度なら何とかなるだろう。

 宇都宮ICで降りて鬼怒川温泉経由で向かう。冬型の気圧配置だったがそれほど強くなかったので川治は雪が舞う程度と予想していたが裏切られた。旧今市で雪が舞い始め、鬼怒川温泉は吹雪になって周囲は真っ白になり、路面は積雪し始めていた。川治ダム周辺は完全に圧雪路面で駐車場所も限定された。田茂沢沿いの林道は予想通り除雪されておらず車の通行は不可能。もちろん歩くのは問題無いが、この積雪量だとラッセルがきつそうだ。林道歩きの距離が長いしな。とりあえず仮眠は県道を挟んだ反対側の広場で取った。最初は翌朝までに車が雪に埋もれないか心配になるような降り方だったが徐々に雪は弱まってきたが風はまだ強い。夜中に寝ている間に除雪車がやってきたようで、県道のみならず私が駐車した広場も除雪されていた。

 翌朝、明るくなってから起床。空を見上げると昨夜の吹雪が嘘のように晴れあがっていた。ここで登山ルートを考える。田茂沢沿いの林道ルートは強い北風を避ける意味合いもあったが、今の天気ならそれほど風は強くなく北向きの尾根を登ってもいいだろう。戸中集落付近から最短距離で登った方がラッセルの距離が短くて済むしお得ではなかろうかと判断、車を移動させた。

 今朝の除雪は県道だけで脇道に入れば圧雪路面が復活する。ただし生活道路なので轍があるからスタックの心配はない。戸中集落から大田山集落へ続く道を辿り、西沢と幡城沢が合流した沢を越える場所に車を駐車した。ここには地形図に記載がない林道が沢沿いに伸びていて、当然ながら除雪は全くされておらず車は入れない。

 装備は6本爪軽アイゼンにスノーシュー。地形図を見ると尾根の最初の方が急なのでピッケルが欲しいところだが、車に荷物を積む際に忘れていたのだった。今シーズン初めての残雪の山なので勘が戻っていないようだ。おそらく木が生えているだろうからそれに掴まって登れば何とかなるさと出発する。

 最初は雪の積もった林道歩き。路面は見えず積雪量は不明だが、歩くと足首から脛まで潜る個所もある。尾根の取り付きは近いはずなのでまだスノーシューは装着しない。林道が左に緩やかにカーブすると谷を挟んだ右手に目的の尾根が登場。しかし谷に面した斜面はかなり急で谷も意外に深い。これだったらこの林道ではなく橋から谷の左岸側を歩いた方が良かったようだ。尾根末端付近からでないと取り付けそうにない。

 谷に下れそうな場所を見つけて雪に埋もれた谷へ下る。水音は聞こえないので流れもないようだ。谷は雪が深く腿まで潜る個所もあってスノーシューが欲しくなるが、目の前の急斜面を登るにはつぼ足の方がいい。下流方向に戻れば安全に尾根に取り付けるだろうが、この雪の深さで進むのは労力が必要で、どうにか登れそうな植林の急斜面を強引に登って尾根に出た。

 植林の尾根上には雪に埋もれているが明瞭な道型が見受けられた。もしかしたらこのまま尾根上に道が続くのかと期待させたが、尾根の傾斜が立ち上がる部分で植林が終わると同時に道も途切れていた。ここからがたぶん本日の核心部だろうと軽アイゼンを装着したが、見上げる尾根の傾斜は予想通りきついし、自然林の密度はそれほどでもなく数mは掴まる木がない区間もある。アイゼンは6本爪でもいいが、ここはピッケルが欲しいところだ。

 尾根は広くルート取りは自由度があるので、できるだけ立ち木の近くを通過するようにして木に掴まりながら登っていく。途中、ごく小規模な露岩があったが驚いたことにフィックスロープがかかっていた。おお、この尾根を登るヤツが他にもいるということだ。今回の軟弱装備では特に下りでロープの効果があった。

 なおも急な登りが続くがやっと傾斜が緩んできて安全地帯に入る。もうアイゼンの出番は無いが脱ぐのが面倒でそのまま歩きつづける。積雪はあるがスノーシューを必要とするほどではなかった。

 標高800m付近になると密度は高くないが背丈ほどの笹が見られるようになる。まあ、この程度なら無雪期でも問題なかろう。というか、今の積雪量では笹が立ったままなので全く役立っていないが。傾斜が緩んで短いながらも平坦地が出てくると積雪量が急に増えて股まで踏み抜くようになり進行速度が大幅に低下した。ここで今シーズン初めてスノーシューの出番だ。さすがの威力で沈み込みは足首程度に収まるようになり格段に歩きやすくなった。しかし立った笹の中をスノーシューで通過するのはちょっとばかり鬱陶しかった。

 その笹も標高900m付近からは消えて歩きやすい植生に変わった。ブナを中心とした落葉樹林で、今は弱い北寄りの風だが落葉した木の間から日光が差し込んで気持ちがいい天気。傾斜も適度でスノーシューで快適に歩けた。

 さらに標高が上がると新雪が深くなってきて足が重くなるが、山頂までもう少し。山頂付近はまだ木に雪が乗っていて霧氷状態だった。晴れているが木に乗った雪はほとんど落ちてこなかったので、気温は低めだったようだ。

 傾斜が緩んでピークに到着、そこが大日向山山頂だった。山頂標識は日光山紀行の1つだけ。おそらく他は「お掃除」されたのだろう。県東部の山では軒並み生き残っていた3D標識や栃木の山紀行は既に存在しなかった。標識と言うべきか微妙だが、黄色いリボンがあったので見てみると、秩父盆地周辺の山で見たことがある「フジオカ.T.K」氏の者だった。この人も関東の広い範囲で活動中らしい。日付だけでなく時刻も書かれているのが珍しい。

 山頂も落葉樹林で今の時期は木の間から高原山や女峰山が見渡せた。

 北風を避けて日の当たる南斜面の雪を均して休憩。僅かな鳥の声以外は無音。たぶん新雪で音が吸収されているのだろう。日差しが眩しく暖かかった。睡眠不足でついウトウトしてしまうような体感温度だった。風邪気味の体にもやさしかった。

 帰りは往路を戻る。尾根の分岐があったかもしれないが、今の時期は自分の足跡がくっきり残るのでわざわざ目印など付けて登る必要はない。そういえば往復とも尾根上で目印には気付かなかった。フィックスロープがあったくらいなのでそこそこ登る人がいると思うのだが。それともメインルートは南側の林道終点からで、この尾根は利用者が少ないのかな。

 問題の急斜面手前でスノーシューから軽アイゼンにバトンタッチ。気合を入れて下っていくが、6本爪でも思いのほかガッチリと雪を捉えて滑るようなことはなかった。でも立ち木が無いとピッケル無しでは上り下りしたくない斜度ではあった。

 杉の植林帯に入れば傾斜が緩んで安全地帯。雪に埋もれた作業道を辿るが谷の近くは積雪が多くアイゼンではなくスノーシューが欲しい場面。もう車まで大した距離はないのでズボズボと膝まで潜りながら進んでいく。適当な場所で谷を横断し往路の林道へ這い上がれば往路のトレースがあるので格段に歩きやすくなった。

 林道入口の車に戻ると生活道路は除雪されていて、横にどけた雪が土手のように盛り上がって私の車では乗り越えられない状況に。しかたがないので足で雪をどかして車を出した。ピッケルでもあればもっと楽だったのに。


 今シーズン初めての本格的な残雪の山で少々疲れたが筋肉痛にはならなかった。まだ残雪期には早く新雪が多くて雪が締まっていなかったが踏み抜きは思ったより少なく、そこそこ快適に歩けたのは良かった。一番良かったのは花粉がゼロだったこと! この時期は雪がある山に限ると身にしみて感じた。

 

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